アナリティクス

2017年6月11日日曜日

同級生と石拾い、静岡県天竜川河口 |思い出その十九|

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石の人

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Toumo

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石拾いの旅|静岡県天竜川河口




ゴールデンウィークの石修行、福井・青森・神奈川・静岡での石拾いを無事終え、最後の菖蒲沢海岸で燃え尽きた。
しかし、石に祝福された男TADAの新天地発見のLINEメッセージにより、鎮火したはずの石拾いの炎がメラメラとまた燃え始めていた。早速、TADAと福井石拾いの旅の約束を6月初旬に取り付けた。

待てない。6月まで石拾いが待てない。しかも暑くも寒くもないこの季節、石拾いにはうってつけなのだ。
今週末の予定をチェックすると、、、
地元の三重県で、小学校から友達のマシューと約束があった。何をするか、特に予定は決めていない。
これはひょっとしたら行けるかもしれない。石拾いに。


2016年5月21日。

地元の駅のロータリーに到着。

石の人「マシュー、久しぶり。」
マシュー「久しぶり。」
石の人「何年ぶりぐらい?」
マシュー「あんまり覚えてない。1年ぶりくらい?」
石の人「今日どこへ行く?」
マシュー「何も決めてない?」
石の人「あ、、。まあ。」
マシュー「?」
石の人「石拾い行くか。」
マシュー「え?」
石の人「・・・・・。」
マシュー「どういうこと?」
石の人「だから、石拾い。」
マシュー「え?」

想定外の提案、「石拾い」。マシューは状況を全く把握できていない。

小学校からの友人なので、僕が変な性格であることも、変な物に興味を示したりすることも、知っている。
それでも「どこへ行く→石拾い」を受け止めることは容易ではないのだ。

少しは期待していた。ひょっとしたらTADAやデザイナーE、サラブレッドKや384みたいなクリエイティブ系ではなく、そういったものにほとんど携わっていない人でも、以外と石拾いをすんなり受け入れてくれるのではないかと。
しかし現実はそんなに甘くはなかった。マシューは僕の石発言から何か別の意味を見出そうと必死になっている。何か隠されたメッセージは?何かのネタなのか?これが後の伏線回収につながるキーワードの一つなのか?、、。と。
否。単なる石拾いを提案していることをマシューに告げた。

マシュー「なるほど、、。石を拾ってどうするの?」

はい、でました。拾った石をその後どうするのかという愚問。もちろん、持ち帰りそのまま所持し続けるだけだ。

マシュー「、、なるほど、、。それのどこが良いの?」

はい、またでました。石のどこが魅力なのかという愚問。答えは簡単。考えるな、感じろ。だ。
いやいやでもこれでは全く答えになっていない。何か、何か少しでもマシューと石の接点を考えてみるんだ、、。マシューと石、マシューと石、、。
マシューの現職は営業職である。主にお客さんはシニア世代だそうな。

はっ!
シニアといったら趣味の一つに「水石」があるじゃないか!

水石と聞いてもこの日記の読者の中でピンとくる方は少ないかもしれない。水石とは、水盤や台座に石を置いて鑑賞する、ざっくり言うと盆栽などに近い趣味である。この水石、目にしたことはあっても、水石という呼び名があることを誰も知らない。僕も、石拾いを始めてから気になり、調べて知った。
以下は水石について、日本水石協会の引用である。

水石(すいせき)とは、山水景石の総称です。水石は、一石のなかから大宇宙を感得する物で、趣味の中でもっとも奥を極めたものといわれます。また、水石と盆栽は車の両輪ともいわれています。自然芸術趣味の極致といわれる水石は、日本的美意識の神髄です。水石の観賞は、大自然に心あそばせ、すぐれた山水景石や姿石、紋様石を見て森羅万象を感じ、自然の風物詩に溶けこんでゆく幽玄な侘び寂びに通じる沈潜した無限の世界があります。

人が行き着く最後の趣味が、水石とも聞いたことがある。

マシューに一通り説明し、いつも訪問するおじいさんの家の庭、もしくは玄関あたりに、この「水石」がないか尋ねてみる。

マシュー「ああ、あるある。見たことある。仲良くなって一度もらったことがあるよ。」

「一度もらったことがあるよ。」
まじか。まじなのか。予想を遥かに超えた返答。

石の人「その水石、どうしたの?」
マシュー「会社の駐車場に置いてきた。
石の人「え?」

信じられない、、。お礼にもらった石を駐車場に置いてくるなんて、、。

マシュー「駐車場に石が沢山あったから、そこに戻したんだけど。」

とんでもないやつだ、、。
いやまて、頂いた石を駐車場に置いてくるとはなんてやつだと思ったが、石に興味がない人からしてみれば、石を駐車場に置くというのは、石がたくさんある場所に石を戻すという感覚のようだ。
僕からしたら、水石と駐車場の石は全く違うものなのだが、マシューにしてみればほぼ同じなのだ。そんな駐車場でもどこでも落ちている石ころを、わざわざ拾いに行くという提案が、とてつもなく不可解なのである。

しかし、水石の話で一気にマシューの理解が進む。つまり、水石のような鑑賞石として石を拾いに行くんだな。とマシューは思ったようだ。

水石と石ころ拾いは違うし、僕にとってはそこはかなり重要なポイントなのだが、全てマシューに説明していては日が暮れてしまうので、一旦そういうことにしておいた。
そして僕は、石拾いを誘うのに素晴らしい言葉を知っている。

石の人「マシュー、海に行こう。海は気持ちいいよ。」

マシューまんざらでもない。石拾いは理解できなくても、海はだいたい誰でも好きだ。

僕は、名古屋から地元の駅まで、電車の中で石拾いスポットの目星を付けていた。
静岡県、天竜川河口から、つながる海。

石の人「昼めしは、鰻重を食べよう。」
マシュー「まあ行くか。」

イエス!

ようやくマシューの車は浜松方面へと走り出す。
今回の最大のミッションは、マシューに一つでも石を持ち帰らせることだ。

車中はマシューの石の質問でいっぱいだ。興味というよりは石拾いをバカにしている感じだ。まあそうだろう。彼にしてみれば、どこにでも落ちている石をわざわざ静岡まで拾いに行くのだから。

浜松に到着し、割と有名そうなうなぎ店へ、向かう。
店には人が並んでいたが、数人だったので良かった。僕は行列等、待つのがとても苦手だ。
しばらくして店の中に入り、鰻重を食す。うまい。いつもながら特に写真や感想、お店の情報はない。

石の旅でやってはいけないことが一つある。
それは、目的が石拾いで、ほかの観光や食事がオプションという考えを持つことだ。それをやってしまうと、石のために、結構出費している錯覚に陥るからだ。
僕は全然大丈夫なのだが、石に興味ない人からすると理解不能なのだ。特に良い石が拾えなかった場合の絶望感が半端ない。
なので、あくまで旅の目的は、観光、食事やレジャーであって、石はついでに拾ってみる?的なノリで行くのがベストだ。そうすれば夏休みに旅行に行き海水浴ついでに貝殻を一個拾ってくるような、ごく普通の風景にカモフラージュすることができるのだ。

そもそも、そんな感じで「石と海」という日記を書くつもりでいた。もう少し旅をメインにして、石は記念に拾ってみる的な。
しかし実際には、内容の99%が石の、石日記になってしまった。

鰻重を食べた後、天竜川河口へと車を走らせる。近づくにつれ、僕は少し不安になってきた。その理由は、河口であること。
今まで、岐阜県中津川、福井県九頭竜川、白田川河口の3カ所に行っているが、あまり良い石を拾った覚えはない。良く磨かれたすべすべの石や、丸みを帯びた色とりどり石といった分かりやすい石ころが少ない。
岩石がかち割られたようなゴツゴツしたままの石や、丸みは帯びても十分に磨かれる前の、ザラザラした表面の石が大半だ。表面が磨かれていないとどうしても、白やグレーっぽくなり、色がわかりにくい。

ただ今回は、河口や、そこからつながる海付近で拾うつもりなので、少し状況は違うのではと淡い期待があった。

天竜川河口に到着。車を駐めて、砂浜歩き、海方面へ。

石拾い 海 静岡県天竜川河口

一面砂浜。
この時点でまだこの日記を書き始めてはないため、石の写真がないのが悔やまれる。
そもそもなぜ天竜川河口を選んだかというと、デザイナーEがいつも拾ってくる石が、御前崎の石なのだが、これが実に素晴らしい。そして、渡辺一夫先生の石ころ図鑑によると、天竜川を流れた石が海に出て、海流に乗り、その終着点が御前崎海岸となるらしい。
さらに図鑑の見出しに、こうも書いてある。「
日本でみられるほとんどの石がそろう川原。
、、、本当ですか?渡辺先生!

とりあえず石を拾ってみる。マシューも石とご対面。

コロコロコロー。
コロコロー。

うーん、普通だ。結構普通だよ。渡辺先生。
僕の目では分からない。この石の群れが、日本でみられるほとんどの石ころだとは、到底思えない、、。
僕は色や形や模様といった見た目の多様さで判断してしまっているが、先生のおっしゃる多様な石とは、上流の地質が複雑で変化に富んでいて、石の成り立ちが様々であることだ。つまり、その違いが見た目に分かりやすく現れているとは限らない。色も基本はグレーである可能性が高い。

駐車場とまではいかないが、平々凡々とした石たち。さわり心地は、今までの川の石よりはサラサラしていて、密度もまあまああるように思える。あと、どの石も少しキラキラと輝く何かがまぶされているようだ。
ここでふと思った。マシューは何をしているのだろう。

彼は石を、蹴散らしていた。

仕方あるまい。彼にとって石とは、そこらに落ちているゴミや塵と変わらないのである。
石の人にとって忌むべき存在。石悪の申し子、人間マシュー。

その後、海の写真をパシャパシャとって(石は入らないように)SNSにアップしていた。
しばらくしてそれも飽きてしまったのか、やれやれ、、。といった感じで石を拾い始めた。これは、おそらく石を拾いたいわけではなく、単純に暇が絶頂に達したのだと僕は思う。そう、人間はやることがなくなり、暇が暇でなくなるほどの状態に陥った時、石を拾ってしまうのだ。ただ普通はそんな状態になる前にその場を立ち去るのだが、僕がまだ黙々と石を拾っているので、仕方なく真似してみたのだろう。

そんな感じで一通り石を拾い終えた。



川で拾った石|静岡県天竜川河口

石拾い 海 静岡県天竜川河口

拾った石はこんな感じ。

石拾い 海 静岡県天竜川河口

寄りのカット。
実は、持ち帰って思ったのだが、以外と悪くない。
なんというか、石の「質」がいい。二度目になるが、サラサラとして、密度がある。手に持つとずっしりとくる重さ。光りにかざすと少しキラキラと反射する感じが良い。
といっても青森や福井の石と比べてしまうと、普通の石ころ感は否めない。

青森の石拾い以降の、「やっぱり青森の錦石にはかなわないなあ」という感情。いつでも青森がちらついて、目の前にある石をちゃんと見ていない。あそこは別格だ。ここにはここの良さがあると何度言い聞かせても、あの衝撃が忘れられない。あの、圧倒的存在感。この先もずっと、この青森の石問題に悩ませられ続けるのだろう。
しかし、あきらめない。どこかに青森も福井も超える、隠された最後の聖地があると信じて、、、。

石拾い 海 静岡県天竜川河口

ちなみに、マシューは一個も石を持ち帰らなかった。

次回思い出その二十は、TADAと行く石拾いの新天地、福井県塩浜の海岸。





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石の人について

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今回の石の人のおすすめ

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懐かしのオスメントくん

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おすすめの石の本

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石拾いが趣味になっていた。

石を求めて旅に出た。

孤独と不思議と癒しが織りなす

石と海の思い出日記。

アーカイブページは下記より。

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